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PORSCHE 930 REPORT - ポルシェ930レポート No.8

朝5時半に起きて暖機中。

バッグなどは助手席に置かず、ブレーキを踏んだときに飛んでいかないように自分のシートのうしろに置きます。

大きな荷物は積みにくいかもしれませんが、ドアポケットに小ぶりなペットボトルやおやつを放り込んでおいたりと、パーソナル・クーペとしての使い勝手は悪くありません。

前回No.7でネガティブな話をしましたが、メカニックITOが整備してくれた機関は調子いいですし、運転しづらい面もとくにありません。古臭いクルマだと感じる方もいるかもしれませんが、34年前のクルマとしてはしっかりしていますし、よく走ります。この走行性能は現代でも十分通用すると思います。

広小路通を東へ向かいます。もうすぐ愛・地球博記念公園(モリコロパーク)が右手に見えてきます。

各ギアでどれくらいまで回してシフトアップするのがスムーズなのか、どう扱うのが930にとって優しい運転なのか、930との「摺りあわせ」をしています。発進時にそのまま1速に入れるとガリっと鳴くことがあるので、2速をなめてから1速に入れるとか、街乗りではある程度引っ張ったら早めにシフトアップするとか、ブレーキの効き具合を確かめながら減速のタイミングを計るとか、いろいろと試しながら運転のパターンを探っていきます。

「速く走る」よりも「上手に走る」ことを目指しつつ、930と仲良くなるためのツーリングに出ました。930のポテンシャルを把握して、それを上手に引き出すこと。それがクルマとドライバーが気持ちよく走るための基本だと思います。こちらの要求を一方的に押し付けても楽しめません。

猿投グリーンロードのPAでひと休み。肌寒いと思ったら外気温7℃。「CB750じゃなくてよかったぁ」。今年はまだバイクに乗る気力が出ません。

途中、スーパー7に追い抜かれ、930は「もっと行けるよ!」と言っているような気がしたのですが、どこまで信用してよいかわかっていないわたしには踏み込むことができません。信用できないのは930ではなく自分の腕なんですけど。(苦笑)

930のサイドブレーキ脇の赤いレバーをぐっと引上げるとヒーターが効いて室内が暖かくなってきます。あ〜しあわせ。

国道153号線で稲武(どんぐりの里)に到着。ようやく空が晴れてきました。

昔ハチロクだったか、静かな場所でエンジンを切るとエンジンルームから「チンチンチン」と音が聞こえたものですが、930は静かです。大人しく座っています。

足助の手前でわたしの意識が「ワインディングモード」に切り替わったのですが左折時、ブレーキングしながらシフトダウン!しようと思ったら「ヒール&トウができん」。そういえばメカニックITOのナローはアクセルペダルを持ち上げてあったなぁ。こういうことですか。

それならそれでブレーキングを済ませてからシフトダウン。930のリズムを身体で覚えていきます。2.7リッターのエンジンからは絶大なパワーが出るわけではありませんが、適切なギアを選べば上り坂でも力強く加速してくれます。

稲武から左折して257号線で恵那方面へ向かいます。前車をパスしながら930の動きを確かめていきます。カーブで路面が荒れているとフロントが暴れるので押さえ込むのに力が要ります。最近のクルマはハンドルを指1本で回すことができて、足の指でブレーキングできてしまいますが、この時代のクルマのハンドルは腕で回すもので、ブレーキは足で踏むものなのです。「人にやさしいクルマ」は人を甘やかしてもいるように思います。

当時のポルシェは生活の道具などではなく、楽しむために乗る(持つ)ものだったはず。そんなことを考えながら快調に飛ばしていると、それまで爪先で踏んでいたアクセルペダルに右足の裏をべったりつけてスロットルを調整していました。そのほうがフラット6と右足が直結するような気がするのです。

途中、岩村ダムの看板を見て右折しました。田んぼの間を抜ける狭い道が山の中に入っていって、クルマ1台分の幅しかなく心細くなっていきました。写真の岩村ダムでも人影はなく、あたりの山でウグイスが鳴いていました。(春だなぁ)

 

岩村ダムから戻る途中「岩村城址(大型車進入禁止)」という看板に誘われました。「大型車じゃないから大丈夫だよね!」。路肩が崩れそうな狭い道がくねくねと山の中を這っています。途中の空き地でラジコンヘリ(エンジン)を飛ばしていましたが(前からクルマが来てもすれ違えないので)停まらずに進みます。そのうち(落石ならぬ)「落枝注意」。立ち枯れた大木の枝が路肩に落ちています。こんなのが落ちてきたら困ります。930に傷をつけるわけにいきません。

九十九折の狭い林道を930は2速でそろりそろりと登っていきます。思ったよりトルクがあって扱いやすいエンジンです。ついに舗装が途切れて、どうなるかと思ったら駐車場に着きました。写真は岩村城址の本丸跡。このあたりでは一番高いあたりで文字通りの「山城」です。まだ寒くて、山桜が咲いています。

本丸跡から見下ろした駐車場。桜の枝越しに見えている930が「ちんまり」としてて可愛い。

257号線を戻る途中、4,000-6,000rpmで走らせてみたところ、5,000rpmちょっとでフラット6のハーモニーが聞こえてきました。これが「カムに乗る」というのでしょうか。どちらかというとガサガサしたエンジン音がブォーンっと収束していく感じ。アルファロメオやフェラーリのような官能的な音ではないけれど、アクセルを踏めばぐっと前に出る感覚と相まって気分を盛り上げてくれます。

スポーツカーと呼べるポテンシャルを備えていながら、そこそこ快適で長距離もこなせる。バイクにたとえるなら、わたしがこれまで乗ってきたクルマたちは「小型二輪」「普通二輪」で、この930は「大型二輪」。そう、わたしにとって930は「ナナハン」なのです。過去の所有車では見ることのできなかった世界を体験させてくれます。このクルマを思い通りに走らせることができれば素敵だと思います。

良い道、良い天気、良いクルマ。三拍子揃えばシアワセになれます!

帰路、下りカーブを抜けながら、このブレーキもコントローラブルで良いと感じるようになりました。効き具合を変えたければブレーキパッドを替えてみるとよいでしょう。

そういえば930にも速度計があることに帰り道に初めて気がつきました。(おいおい) そしてオドメーターが92,000kmを突破しました。34年間、日本の道路を92,000km走り続けてきたわけです。

こういったクルマには、年式とか走行距離といった通常の中古車選びの基準は当てはまらないように思います。きちんと整備してあって、安心して乗ることができることが大事。そうでないと人気のない林道に分け入っていくなど恐ろしくてできません。(笑)

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