2007年の暮れに新車で納めさせていただいて「1,500kmになったら初回点検とオイル交換をしましょう」とお伝えしてあったランチア・イプシロン1.4 16V(MT)をお預かりしてきました。
ジャズのCDを聴きながら通勤してらっしゃるとのことで、わたしも聴かせてもらいながら走り出すと、着座位置が高いクルマに違和感を感じるはずのわたしが妙にしっくり来ています。いわゆるミニバンをぎゅっと凝縮したような感じ。このポジション以外にはありえないと納得してしまう。ピアノの音色もシックなインテリアにぴったり。イプシロンっていいクルマだなぁ。
新車ってきれいなんだけど納車前は人のぬくもりがないから冷たいのです。納めてしばらくするとオーナーが大事にする気持ちや乗り方がクルマに伝わって温かみが出てきます。先日降った黄砂も洗ってありますし、お返しするまえに洗車したらワックスをかけてあることがわかります。そういったオーナーの思いやりがクルマをバリアのように守るのです。
この女性オーナーはVWコラード、プジョー306、アルファ145という車歴をお持ちで「145に比べると戦闘力マイナスなのでよく煽られます」。たしかに145はハッチバックとはいえ強面ですし2リッターだったのでそれなりに走ります。それがイプシロンは一見コロコロしてるしアクセルを踏んでもフワーっとした加速なのでギュンギュン走るというわけにいきません。「慣らし中なのであまり回さないようにしていたこともあるんですけど、ゆっくり走ることにもう慣れちゃいました」。きっとそれでいいんだと思います。
ルッソでオイル交換後(オーナーにご了解いただいたうえで)撮影のために東山を走らせてみたのです。通常では考えられないくらい深くアクセルペダルを踏まないと思ったように加速してくれません。逆にいえば思い切って踏み込めばパワーを発揮するのですが、足回りがソフトなのでコーナーで踏ん張りが効きません。結果「ここまでだな」という速度域に落ち着くわけです。イプシロンでワインディングを攻めるのは、ドレスを着て全力疾走するみたいで似合わない。転がし方はLANCIA THESISに通じるものがあります。ゆったり無理せず優雅に。ランチアに関しては大型車が高級だとは限らないのです。
この1.4 16Vエンジンは高回転域がおもしろいはずなのでもっと回したいところですが、それはオーナーにお任せします。高速道路で巡航するときにいつもより1段低いギアで走らせたり、交通量が少なければわざとスローダウンして2段低いギアで引っ張ってみるなどして、全域にわたってスムーズに回るように躾けてあげましょう。もしもイプシロンの戦闘力をアップしたくなったら足回りをもうすこし固めて車高を落としましょう。実際そういうイプシロンオーナーもいらっしゃいます。
最後に、次回オイル交換は4,000kmあるいは半年までに行うことをお勧めしておきました。