■ 1998 フェラーリ 550 マラネロ
▼ アズーロカリフォルニアのボディカラーが美しい、フロントに5.5リッターV12エンジンを搭載したFRクーペ「550 マラネロ」。4,550×1,935×1,270mmというボリューム感溢れるボディからは「V12」のオーラが漂ってくるようです。
▼ 納車点検を終え、整備前に内装全体のクリーニングと補修を行うことにしました。ひどく汚れていたり痛んでいる部分はありませんが、電動シート調整スイッチカバーが白っぽくなっているのと、シートベルトが擦れるパイピング部分や、シートベルトキャッチが擦れるサイド部分などは補修が必要です。
▲ シート全体をクリーニングしたのち、黒ずんでいる部分は薄く塗装して目立たないように、きれいにしていきます。オリジナルの風合いや手触りを損なうことのないよう慎重に作業します。光の当たり具合で革の色がちがって見えるので何度も色合わせしました。
▲ センターコンソールの灰皿の塗装がベタついているので、ベタつきを除去したのち再塗装。右側の小物入れは交換することにしました。
▲ ルッソでリフトにかけて整備開始。ボンネットを開けると、V8フェラーリではリアから見える景色がフロントから見えて、思わず「重そうだな」。タイミングベルト交換のため、エンジン前部を分解していきます。
▲ 左右バンクのタイミングベルトが現われました。カムプーリーが2個ずつありますからDOHCです。12気筒あるから48バルブ! ちなみに、最高出力 485ps/7000rpm、最大トルク 58.0kgm/5000rpm です。そのパワーを発揮させるためにもタイミングベルトは新調しておきたい。
▲ タイミングベルトとテンショナーベアリングの新(下)と旧(上)です。
▲ 古いタイミングベルト2本(左)を新品(右)を比べると十分使用感があります。見た目だけで寿命の判断はできませんが参考にはなります。距離は走っていないれど年数が経過して交換することになった場合、一見きれいでもゴムが劣化して細かい亀裂が入っていることがあります。
▲ 新しいタイミングベルトを張りました。カムプーリー径が小さく、ヘッドの幅は意外にコンパクトに作られています。 同時にドライブベルト(オルタネーター/エアコンベルト、ウォーターポンプ/パワステベルト)とサーモスタットも交換しました。
▲ スパークプラグの新(上)と旧(下)。まさに12気筒を実感する写真です。(笑)
▲ つぎはクラッチ交換に取りかかります。マフラーを全部取り外し、クラッチハウジングにアクセスできるようになりました。
▲ エンジンマウント左右2個と ▼ トランスミッションマウント左右2個も交換します。
▼ エンジンマウントの新(右)と旧(左)を並べてみました。古いものは横からみると潰れてしまっていることがわかります。これではマウントとしての機能を十分に果たすことができません。
▼ 前後重量配分を考慮してトランスアクスルを採用しているため、リアにあるトランスミッションを下ろしました。黒いトルクチューブが砲身に見えます。
▼ クラッチディスク、クラッチカバー、クラッチレリーズベアリング、レリーズベアリングシール類の新(上)と旧(下)。写真右下が古いクラッチディスクです。溝はまだ残っていますが、ここでリセットして良い状態で乗っていただくことにしました。たとえばブレーキパッドでもギリギリまで使い切るのもよいのですが、交換時期を逃すと困ったことになります。予算が許すならば「納車整備」というのは絶好のタイミングです。
▼ 再びクラッチハウジングを取り付けたところにトランスミッションを載せてトルクチューブを接続します。
▼ マフラーを元通りに組み付け、新しいエアフィルターを取り付けてエンジン回りを組み上げていきます。
▼ 下回りをフロントから見上げたところ。白い円筒が2個並んでいるのがエンジンオイルフィルター。V12はエンジンオイルを12リッター飲み込みました。他に、トランスミッション/デフオイル、ブレーキオイル、パワステオイル、LLC、バッテリーも交換しました。
▼ 整備を終えて試運転。タイヤ交換、四輪アライメント調整し、CDヘッドユニットと(トランク内に)サブウーハーボックスを取り付け、最後にガラス系ボディコーティングを施して完成しました。
イグニッションを捻るとキュルキュルキュル、フワーンっとV12が目覚めます。重めのクラッチペダルを踏んでギアを1速に入れてスタート。街中を流れに従って走らせるだけなら2,000rpmまでで事足ります。それが3,000rpmを超えるあたりから刺激的なエンジン音とパワーフィールが伝わってくるのです。高速道路では「このまま踏み続けたら一体どこまで加速するんだろう」と心配になるくらいパワフルです。
550 マラネロは街乗りも難なくこなす一方、踏めば応えるスポーツマインドを秘めたスポーツGTです。アクセルペダルを通じてフェラーリV12を操り、そのレスポンスを味わうのは至福の時。6速MTでマラネロを駆り、ご堪能ください。